日別アーカイブ 2009年8月7日

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ペルソナ戦略と顧客セグメンテーション

近年、マーケティングの世界で「ペルソナ戦略」というものが話題になっております。これは架空の顧客イメージをできるかぎり明瞭に描いて、それを製品の企画から開発・設計、マーケティングなどに携わる関係者の間で共有しようというものです。
いわば定性的なアプローチなのですが、こういうものが議論される背景には、定量的アプローチの限界があります。数値データだけから顧客(消費者)を見ていたのでは、生き生きとした顧客像が得られません。
かと言って、定量分析よりも定性分析のほうが良いとか、そういう話ではありません。
じつは、ペルソナ戦略の本でも、ペルソナを作成するに先立ってデータ分析を行うべきだと書かれいます。ただし、「こそっ」と一言書かれているだけで、残念ながら、その詳細な説明はまったくなされていません。
定量と定性の両面からのバランスのよいアプローチが理想なのですが、これがなかなか難しいです。
統計学にうるさい先生の中にも「統計解析と定性分析は相容れないものだ」と言ってはばからない人がいたりするほどで、一般的にはこれらを統合する手法が提供されていません。
じつは、ペルソナ戦略には重大な問題が隠されているのですが、難しい問題なので正面切って問題にする人は少ないです。ペルソナ戦略を推進するコンサルタントなどは、「ペルソナをいかにして組織に定着させて活用するか?」というあたりを強調するでしょう。たぶん多くの人がこの問題に気付かないんだろうなぁ、と心配するわけです。
定量的データの裏づけのない場合のペルソナ戦略は、必ず失敗する運命にあります。
実際に存在する顧客からかけ離れたところでペルソナを作成することになると、それこそ「机上の空論」というものです。ペルソナは何体か複数作成することになっているわけですが、つまり、それは、顧客セグメンテーションとしっかり対応していなければ意味がありません。各ペルソナは各セグメントの代表であるべきです。
そこのところでしっかりと定量分析とつながっているペルソナ戦略であれば、それは強力な手法になるに違いありません。ペルソナ戦略を成功させる決め手は、定量的な顧客セグメンテーションです。
ちなみに「セグメントの代表」をどのように決定するのか?なんですが、従来の統計的方法では、何かとすぐに「平均値」をとってしまいがちで、これに問題があるということは、統計・データマイニングの中でもすでに議論済みのことです。平均値が代表者になりうる状況というのは、各変数の分布が正規分布に従っており、また多変量データの場合は、多次元空間内でのデータの分布が「曲がっていない」、つまり、「線形的である」という条件が必要です。
簡単なイメージで言うと、バナナのように曲がっている物体の重心が物体から外れた空間上にあるのと同様に、現実のデータの平均値はデータの分布から外れてしまうことが多々あります。したがって、単純な平均値で代表者を決めるのは危険です。よく統計調査から算出された「平均的国民のモデル・ケース」なんかが「そんなのありえねぇ〜」というふうになる仕掛けがこれなわけです。
自己組織化マップは、実際的なデータ空間の任意の領域(セグメント)から代表者を選んで、そのプロファイルを識別するのに最適な手法です。