PREFMAPと自己組織化マップ(2)

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PREFMAPと自己組織化マップ(2)

前回はXLSTATを用いたプリファレンス・マッピングを紹介しました。食品や飲料、香料あるいはオーディオや自動車、住宅といった産業分野での商品企画では、消費者の感覚に訴える商品づくりが求められます。したがって、いわゆる官能評価とマーケティング調査をつなげる分析手法が不可欠となってきます。プリファレンス・マッピングをその有効な手段です。
プリファレンス・マッピングは、前回説明しましたように、主成分分析、クラスタ分析、回帰分析などの手法を組みわせております。言うまでもなく、これらの手法は、目的ではなく手段です。つまり、手段・方法というものは、代替可能なものであり、常により良い手段・方法が出現する可能性がある、ということです。
目的は何か?というと、製品の官能評価データと、消費者の競合製品に対する受容度データを統合して、新商品の開発や改良の方向性に関する詳細な情報を得たい、ということです。
今回は、自己組織化マップ、というよりも、正確には、自己組織化マップを組み込んだデータマイニング・システムVicovery SOMineを用いる方法を紹介します。これにより、プリファレンス・マッピングの目的をよりスマートに実現し、かつ、従来のプリファレンス・マッピングでは得られないより詳細な情報を得ることができます。
自己組織化マップ上でのデータマイニング
前回のチュートリアルのデータからViscovery SOMineで作成されたマップは下記のようになります。

大きな画像
マップを作成するために、若干のデータ加工が必要ですが、この際、その詳細説明は割愛させて頂きます。このマップには99人の消費者が、10種類のポテトチップスへの受容度パターンの類似性によって並んでいます。21個の図が示されていますが、これらはすべて消費者は同じ並び方をしています。21個の図のそれぞれは、10種類のポテトチップスへの消費者の受容度と、11個の官能特性への反応を示しています。このマップでは、消費者を8個のクラスタに分割したところを示しています。
一般の書籍での自己組織化マップは、マップが画像として表示されるだけで終わりのようなイメージで紹介されているのですが、Viscoveryは全く違います。たとえば、各クラスタの特徴を下図のようなグラフで表示できます。

これはマップの中央付近の(C2という)クラスタの特徴を表したグラフです。つまり、クラスタC2に属する消費者と全体の消費者を比較して、どの属性(変数)で違いがあるか?という多重比較検定を行って、有意な差のある属性を自動でピックアップしてグラフにしております。マップの左端中央のクラスタ(C4)のグラフは下図のようになります。

グラフの右側が正値で左側が負値です。棒グラフの長さは、それぞれの属性の標準偏差を単位として、クラスタ平均と全体平均の差の大きさを示しています。したがって、棒グラフが右側に出ていると、それらのポテトチップスや官能特性が好まれていることを意味し、左側に出ていると(相対的に)好まれていないことを意味します。
C2のクラスタでは、さまざまな官能特性が積極的に好まれて、Crisp 3,5が好まれています。一方、C4ではさまざまな官能特性が負になっていて、Crisp 2,3,6が好まれています。つまり、硬さ、粘り、パリパリ感、人工的、塩辛さなどが避けられて、消去法の結果、製品が選ばれているということがわかります。Crips 3は両方で好まれていますが、Crips 10は一方では好まれ、もう一方では好まれていません。
このような方法で、マップの各領域にいる顧客の好みを詳細に知ることができます。クラスタだけなく、任意の領域についてグラフを表示させることができます。また、もちろん、各領域にいる消費者の人数と全体での割合も知ることができます。C2は、15人(15.2%)で、C4は12人(12.1%)です。
PREFMAPでは、製品、特性、消費者といった要素が、点や線(ベクトル)で表されるだけですが、Viscovry SOMineでは面で捉えることができます。マップ上でまとまった(赤い)領域を獲得している製品は、消費者からのしっかりした指示を受けていることを意味し、複数の領域に分離している製品は、比較的競争力が劣ることを意味します。たとえばCrisp 4の受容度の高い領域は複数の領域に分かれていますが、これは「人工的」という特性を好まない消費者から支持を受けています。いわゆるニッチ戦略です。

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