日別アーカイブ 2014年2月17日

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PREFMAPと自己組織化マップ(まとめ)

PREFMAPと自己組織化マップについて2回に分けて説明すると書きましたが、まとめとして、もう1回書きます。

PREFMAPの場合

PEFMAPでは最終的に消費者ごとの好みを回帰モデルで記述します。ここから逆算的にPREFMAPの原理を見ていきましょう。チュートリアルでは、消費者のクラスタ平均でモデルを作成していましたが、原理的には個人ごとのモデルを作成することは可能です。しかし、それをしても人間がモデルを解釈するには手にあまります。PREFMAPの限界はまずここにあります。
最も単純な考え方では、各製品の官能特性値を説明変数として、消費者の各製品に対する受容度を目的変数として、回帰モデルを作成すればよいのですが、回帰モデルは、説明変数の数に対して、オブザベーションがたくさんある方が精度の高いモデルができ、説明変数よりもオブザベーションの数が少ないとモデルを作成することができません。チュートリアルでは、官能特性が11個で製品(オブザベーション)が10個です。これではモデルが作成できませんので、官能特性の表を主成分分析して、主成分X1とX2を説明変数としています。いわゆる主成分回帰というテクニックです。
PREFMAPでは、比較する製品の数が多ければ多いほど正確なモデルが作成できることになりますが、実際的には、消費者に対してそのような調査を実施することは困難になります。分野によっては、そもそも類似した競合製品がそれほどたくさんあるわけではないということもあり得ます。PREFMAPが作成するモデルがとても粗いモデルであることをまず理解しておくべきかと思います。
味や食感などの好みは、たとえば塩味が濃すぎても薄すぎても良くなくて、理想点を最高として、そこからはずれると消費者の受容度は下がります。これを従来の回帰モデルで表現するために、2次の項や交互作用項が導入されています。しかし、少ないオブザベーション数(製品数)で、このようなモデルを作成しても、はたしてどこまで信頼できるか、という問題もあります。
つまり、PREFMAPではミクロな視点で分析をしようとしているのですが、視点をミクロにしていくと、利用可能なデータ量が少なくなってしまいます。消費者個人の各製品への受容度の差異よりも、消費者個人間の各製品への受容度(すなわち好み)の差異の方がより多くの情報を持っているのですが、PREFMAPではこの情報を上手く活用できていません。
自己組織化マップの場合
PREFMAPのデータを自己組織化マップ(SOM)で分析するには複数の方法が考えられます。PREFMAPと同様に、主成分分析のバイプロット得点を使ってSOMを順序づけすることもできます。しかし、そんな遠回りなことをしなくても、単純な計算によって、消費者の官能特性に対する反応量を計算することができますので、その列を、消費者の製品に対する受容度の表に結合して、マップを作成したのが前回の説明です。
前回のマップは、99人の消費者が10種類の製品への受容度パターンの類似性によって順序づけされて(並べられて)います。PREFMAPでは、各個人(またはクラスタ)のさまざまな官能特性値に対する応答(受容度)がモデルされますが、前回のSOMでは、それぞれの消費者に対して、10種類の製品の受容度と11個の官能特性の反応量が、それぞれ1個ずつあるだけです。前回のSOMのモデルでは、各個人について、交互作用を考慮しておりませんが、99個のオブザベーションをフルに活用して、全体として非線形のモデルを作成しています。
Viscovery SOMineでは、マップ上の任意の領域で瞬時に多重比較検定を実行できますので、任意の領域に対応する消費者の特徴を自由自在に分析することができます。そこから得られる知見は、主成分分析のマップ上に点やベクトル(線)で表現される従来手法よりもはるかに豊かな知見となります。
さらにいうと、PREFMAPでは消費者個人ごとのモデルを作成することが原理的には可能ですが、それを人間が解釈するには手にあまる、と書きましたが、Viscovery SOMineがあれば、実際にそこまでやって、個人間の係数の違いをマップ上で見渡すことすら可能になります。PREFMAPとSOMモデルを統合することも可能です。
最後にSOMのマップを見るときの注意点を1つだけ述べます。SOMはデカルト座標を表現しておらず、観察されたデータポイントのトポロジー的な並び方(順序)を表現しています。つまり、データポイントが観察されなかった空間については、まったく表現されておりません。これまで存在しなかった特性の(組み合わせの)製品を開発するためには、この点をよく理解して使用しなければなりません。もちろん、観察されたデータポイントの周りの(データポイントが存在しない)空間をSOMの表現に含めるためのテクニックもありますが、それは別の機会に譲ります。
官能評価データと消費者への市場調査データを統合した分析をしたいとお考えの商品企画・マーケティング関係者様には、まずXLSTATにより一般的な手法(をベースにしたちょっと高度な手法)としてプリファレンス・マッピング手法を導入されることをお薦めします。より一般的な手法を導入することは、組織内のハードルが高すぎないので、導入がしやすいというメリットがあります。しかし、さらに強力な手法を導入して圧倒的な競争優位を勝ち取りたいと、真剣にお考えであれば、Viscovery SOMineによるデータマイニングを導入することをお薦め致します。