戦略的意思決定をデータサイエンティストに丸投げする愚行

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戦略的意思決定をデータサイエンティストに丸投げする愚行

世間でバズワード化している「データサイエンティスト」が本当の科学者ではないという話を書きましたが、仮にそのデータサイエンティストがちゃんと勉強をして、高度な分析技術を身に着けたと仮定しても、必ずしもそれが企業の役に立つわけではありません。
もちろん、一定の条件を満たせば十分に役に立つことが期待されます。それは、データサイエンティストと経営管理者などの意思決定権限者とが、十分にコミュニケーションがとれていて、利用可能なデータ分析技術で解決が可能な課題が明確に与えられる場合です。しかも、その課題は、戦略レベルの問題ではなく、戦術レベルに限定されなければなりません。
世間では安易に「戦略的情報」などと言う言葉が使用されることが多いのですが、その多くは「とても価値のある情報」というぐらいの意味で使用されることが多く、「戦略経営」の観点からの厳密な意味での「戦略」を意味していないようです。しかし、戦略経営の観点で言えば、企業の戦略を決定するのは、社長および取締役らによらなければなりません。
もし、そんな意思決定をビジネス経験の浅いデータサイエンティストに丸投げするような会社があれば、10年後もその会社が存続しているかどうか怪しいものです。
多くのデータマイニング・システム・ベンダーが、「予測分析(Predictive analysis)に重点を置いているのは、そのような理由もあると考えられます。予測モデルの場合、課題の定義が単純ではっきりしているからです。また、それほど特別な技術を使わなくても、たいていの場合、何もしなかったときよりも確実に改善を得ることができます。そして、モデル品質を比較する基準も明確なので、より良いモデルが得られるように努力する方向も明確です。
しかし、明確な課題を与えずに、社内に蓄積されたデータや(最近流行りの)オープンデータを用いて、「何かわかることがないか?」「何かに役立てられないか?」というような取り組みをデータサイエンティストにさせようというのは、あまりお薦めできません。
100人のうち何人かは、誰に教わることもなく、優れた経営感覚を持っているデータサイエンティストがいなくはないと思います。運よくそういう人材を採用した会社は、救われるかもしれませんが、そうでない場合は、ろくな成果も上がらない部門に余計なコストがかかるだけの結果になります。
会社のシステム部門が「金食い虫」と言われ続けたことを想起するデジャビュ体験です。仮に救われたとしても、その会社の経営陣は責任放棄しているに等しいです。本来は、経営陣が考えなければならないことを科学者に丸投げして、そのご託宣を仰ぐということで良いわけがありません。
セグメンテーションには経営陣が関与するべき
とくに経営陣が丸投げしてはならないのは、製品・市場・顧客などのセグメンテーションの問題です。たとえば、顧客をどのようにセグメンテーションして、どのセグメントを自社のコアなターゲット顧客と考えるか?そして、どのセグメントを戦略的に打って出る「戦略ドメイン」と考えるか?は、経営陣が考えるべきことであって、データサイエンティストに丸投げするべきことではありません。これは、まさに戦略的な課題だからです。
つまり、これからの時代は、「データに基づいてセグメンテーションを考える」という作業に経営者自身が参加しなければならないのです。
しかし、「経営者自身が先端の分析技術を勉強するなんてナンセンス」と反論されるかもしれません。ご心配は無用です。ヨーロッパの一部の企業の経営者は、もうそのレベルをクリアしております。
Viscoveryでは、セグメンテーション・モデルを作成するところまでのテクニカルな作業は、会社のIT部門やデータ分析ツールの操作担当者(それを「データサイエンティスト」と呼ぶなら呼んでも結構です)が補佐して行うことができます。そこから先、セグメンテーションをいろいろといじってみて、ターゲット・グループを決定することは、意思決定権を持つ経営管理者が十分に行えます。どのターゲット・グループにどの施策を適用するべきかを意思決定権限者の判断のもとで決定すると、それをデータベース全体に適用したり、実行系システムでリアルタイムに適用するためのテクニカルな作業は、また社員が担当すればよいことです。
重要な点は、Viscoveryを使用すると、本来、経営陣が意思決定しなければならいことを「データ分析」の名のもとに、決定権を有しない社員にうやむやなうちに委ねてしまうという愚行を避けることができる、ということです。
まったく心配はいりません。経営陣が、先端のデータ分析技術を勉強するなんて必要は一切ありませんから。

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