月別アーカイブ 5月 2016

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クレジット・スコアリングと反マネーロンダリング

ベイジアンネットワークのHUGINが、クレジット・リスク・ソリューション「BayesCredit」と反マネーロンダリング・ソリューション「BayesAML」の外販を開始します。
HUGINというのは、ベイジアンネットワークの本家本元です。HUGIN以降に世界中でさまざまな亜種が開発されてはおりますが、現在でも正確な確率推論を実行するにはHUGINの技術が不可欠であるというのが真実なのです。
そして、HUGINは金融分野のソリューション開発でも20年以上のキャリアを持ちます。ヨーロッパの金融機関は、20年も前からデータマイニングや人工知能、機械学習などの新しい技術を業務に活用する研究に取り組んでおります。金融のプロと(本物の)データサイエンスティストのコラボレーションがずっと続けられてきたわけです。(ブームに付和雷同している日本とは大違いです。)
まずクレジット・リスク・ソリューションですが、2007年から2015年にかけてノルウェーのリスクマネジメント・コンサルティング会社Combitechと共同でマルチクライアント方式の研究プロジェクト(ノルウェーの銀行資本の80%を占める機関が参加)を実施して開発してきたものです。その成果を満を持して世界に発信するというわけです。
金融機関にとって収入証明で顧客の信用リスクを評価するのが安直な方法なのですが、それでは多くのビジネス・チャンスを失うだけでなく、債務不履行のリスクを軽減することにもあまり効果がありません。
BayesCreditによって、支払履歴から債務不履行の確率を計算するだけでなく、新規顧客についても初期の顧客情報から貸付の承認・却下の暫定的な判断をして、さらにどのような詳細情報を収集するべきかの提案までできます。
これにより、従来は、低所得だと言う理由だけでローンを組めなかった層からでも、隠れた優良顧客を見つけることができるとのことです。BayesCreditは、最新鋭のリスク・レポーティング・ソリューションとして、Basel監視機関から承認されています。
一方、反マネーロンダリングについては、ヨーロッパでは、すでにマネーロンダリングとテロリストの資金調達の法的規制がかけられています。(これも日本は遅れています。)BayesAMLは、第4次反マネーロンダリング条例の要求を満たすために金融機関に提供されるソリューションです。
個々の取引をコンピュータで監視して、疑わしい取引にフラグを立てます。現在ホワイトペーパーを翻訳中ですので、これについては追って報告します。ホワイトペーパーを希望される金融機関様、コンサルティング会社様はぜひご連絡ください。

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XLSTAT新バージョンのリリースもうすぐ

XLSTATのインストールの不具合については、問題が解決しているのを確認しましたので、臨時のダウンロード・リンクは削除しました。XLSTATは、こちらからダウンロードできます。
現在準備中の新しいバージョンでは、
官能評価分析でTDS(Temporal dominance of Sensations)が追加されます。今のところ訳語がないようですが、一応、「経時的優位感覚」としておきました。つまり、食物を口に入れたときに、甘味とか苦味などの、どの感覚が一番優位に感じられて、それが時系列的にどのように変化するかというデータの分析です。グルメ番組の食レポでも「はじめはサクッとした歯触りで、次第に口の中に・・・」とかよくやっていますね。そういう感覚を分析する手法です。
もう1つは、SVM(サポート・ベクター・マシン)が登場します。「ExcelでSVMが使える」ということになるようです。

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クレジットカード取引パターンの広域な監視システムの確立を

報道されているように15日、日本国内でクレジットカードの広域な一斉不正使用事件が発生しました。
報道によると17都道府県の約1400台のATMから一斉に総額14億4000万円が不正に引き出されたとのことです。2時間半の間に100人以上の犯人グループが各地で一斉に引き出したと見られています。
犯人グループが100人として、単純計算で1人1400万円を2時間半の間に14台のATMを回って引き出したことになります。カードの利用枠が100万円なら、1人たったの14枚のカードです。そう考えるととても簡単です。
今のところATMは暗証番号さえ正しければ、お金を吐き出してしまいます。考えられる1つの対策としては、少なくともICカード化して偽造カードを簡単に作れないようにするということがあります。さらにセキュリティを確実にするには、暗証番号ではなく、指紋や虹彩などの生体認証が必要とされます。しかしながら、これらはすべてのカード、すべてのATMを新しい技術に置き換えないと確実な効果が期待できないという欠点があります。
そこで当面、急がれるのは、広域な取引のリアルタイム監視ではないかと考えます。機械学習を使って不正検出を行うというのは、国内でも当然行われているはずですが、基本的に個別のカードごとに不審な取引パターンがないかを見ているのではないかと思われます。しかし、それでは今回のような大掛かりな(テロとさえ呼べる)犯行には対処できないでしょう。
今回のような事件が起きた場合、被害を全くゼロにすることはできなくても、1分1秒でも早く異常に気付いて、危険にさらされているサービスを速やかに停止するということが求められます。
つまり、システムの全体的な挙動(状態遷移)をリアルタイムに監視する必要があります。ATMはいくつかのサービスを提供しているわけですから、通常は、利用者ごとにさまざまなサービスが利用されているはずです。曜日や時間帯、あるいは月末などの時期によって、どのサービスがよく利用されるというパターンがあるでしょう。そのような多変量な値の時間的変化のパターンを状態遷移と呼ぶことができます。
今回の手口が使われた場合、不正なトランザクションが全体からみて誤差の範囲として見捨てられてしまう可能性が高いです。個々のトランザクションで大金の引き出しがあったからと言って、それを即不正とみなすことはできません。しかし、それを「注目すべきイベント」としてフラグを立てることはできるでしょう。不正が起きていないときでも、システム全体では常にあちこちでフラグが立っている状態になるでしょう。その時間的な出現パターンが通常であるか異常であるかを判断する判断するシステムを構築しなければなりません。現状でもある程度されているのかもしれませんが、その性能を高める必要があります。
弊社が提供するデータマイニング技術は、とくにこのようなシステム監視の問題を解決するのに威力を発揮します。週明け早速、海外の技術協力会社とこの件についてディスカッションする予定です。