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投稿者:Kunihiro TADA

XLSTATの日本語マニュアル再開

XLSTATの日本語マニュアルの公開を再開しました。

以前はMicrosoft Wordで編集したドキュメントをPDFにして公開していたのですが、分量が1500ページを超えて、さすがにMicrosoft Wordでは編集がしにくくなり、Markdown言語に切り替える作業に約1年を費やしました。来週にはXLSTATのソフトウェア本体のヘルプからアクセスできるようになる予定です。

投稿者:Kunihiro TADA

XLSTAT 2021.4 がリリースされました。

XLSTAT 2021.4

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新バージョンが利用可能になりました。新機能は?

 

LASSO回帰とは何か?

LASSO回帰は、高次元の文脈での線形回帰の欠点(推定の不安定さと予測低信頼性)を克服することができます。

したがって、データセットが個体の数に比べてとても多数の変数で構成されているときも予測が行えます。

いつこれを使用するか?

簡単な事例: 近赤外スペクトルの離散化に対応する35個の説明変数から、さまざまなウォータークッキーの組成を予測することができます。

LASSO 回帰を始める準備はできましたか? データセットをダウンロードして、まずは分析を実行してください!

XLSTATでの新機能は?

弊社のユーザー様からの多数のリクエストにお応えして、XLSTATモデリング・メニューにLASSO 回帰を追加しました!

Lasso回帰機能により、簡単でユーザー・フレンドリーなダイアログ・ボックスのおかげで、数クリックで、従属変数と説明変数を選択できます。利用可能な出力の中で、すべてのオブザベーションで予測値と残差の表、さらに関連するグラフやMCE(平均2乗誤差)の推移を可視化できます。

 

 

この新機能は、データ・モデリング・メニューからアクセスできます。

 

ロジスティック回帰とは何か?

ロジスティック回帰は、質的応答変数と質的説明変数や量的説明変数の集合との間の関係を調査できます。より正確に言うと、イベントの発生の有無(Yで表記される従属変数)を説明変数の水準(Xと表記)で説明することを助けます。

いつこれを使用するか?

簡単な事例: 顧客の標本があるとして、ロジスティック回帰は、顧客がオンライン情報サービスのサブスクリプションを更新するかどうかを、特定の特徴(年齢範囲、先週の閲覧ページ数など)で予測することを助けます。

ロジスティック回帰を始める準備はできましたか? データセットをダウンロードして まずは分析を実行してください!

XLSTATでの新機能は?

XLSTATは、量的または質的説明変数によって、バイナリ(2モダリティ)、順序(3順序モダリティ以上)、多項(3モダリティ以上)の質的変数をモデルすることができます。

こちらが、新バージョンでのロジスティック回帰の拡張です:

  • よりエルゴノミックなダイアログ・ボックス、
  • 計算時間の改善、
  • 正しく分類されたオブザベーションのパーセンテージを表示する分類表の追加、
  • 分類表を可視化する混同プロット、
  • 分類モデルの予測品質を評価するために、弊社R&Dチームが開発してGCI指標。

 

この新機能は、データ・モデリング・メニューからアクセスできます。

 

MANOVA分析とは何か?

多変量分散分析は、説明しようとしている複数の量的変数と質的説明変数や量的説明変数の集合の間の関係を調査することができます。

複数同時のANOVAに代わってMANOVAを使用することの利点は、応答変数間の相関を考慮に入れ、したがって、データの情報をよりよく活用できることです。

いつこれを使用するのか?

簡単な事例: MANOVAを使用して、4個の特徴 (sepal length、sepal width、petal length、petal width)の組み合わせで表現された1つの変数である形態が、3つの花の種でことなるかどうかを調べることができます。

MANOVA分析を開始する準備はできましたか? データセットをダウンロードして、まずは分析を実行してください!

XLSTATでの新機能?

この新バージョンでは、XLSTATの哲学に沿って、MANOVAダイアログ・ボックスのインタフェースが再編成されました。 それに加えて、大規模データセットでより有効になりました。

この機能により、Wilks、 Hotelling-Lawley、Pillai、Roy検定の結果、および平均のグラフが表示できます。

 

この新機能は、データ・モデリング・メニューからアクセスできます。

XLSTAT 2021.4を取得する方法は?

Version 2021.4 は、上記のすべての改良、高度なオプションおよびソフトウェアのパフォーマンス向上へのアクセスを提供します。新バージョンのインストールはすべてのユーザーに推奨されます。

現在トライアル・ライセンスを使用中か、アップデート&サポートが有効なライセンスをお持ちであれば、2021.4 を無償でダウンロードできます:

 

アップデート&サポートが終了した永続ライセンスをお持ちでしたら、 こちらにお問い合わせください。

投稿者:Kunihiro TADA

XLSTATキャンパス・ライセンスのお薦め
~1人約1284円で全機能も可能~

XLSTATでは現在、正規価格のライセンスの他に、教育用ライセンス学生用ライセンスを提供しておりますが、大学および大学院におかれましては、これに代わり、よりお得なClassRoomライセンスおよびCampusライセンスをご利用頂くようにご案内致します。

研究予算の有効活用

XLSTATのシングル・ユーザー・ライセンスで、すべての機能(Premium,3DPLot, LatentClass)を使用するには、大学等の教育機関の場合に限り教育用ライセンスがご利用可能で、その価格は1ユーザー1年につき、123,900円(税別)です。後述しますが、大学でも教育用ライセンスの適用外になるケースもあり、その場合は、正規価格で242,900円(税別)です。

これに対して、大学の備品として購入される場合、以下のライセンスがご利用可能です:

  • ClassRoomライセンス(60台未満):459,900円(税別)
  • Small Campusライセンス(500台未満):641,900円(税別)
  • Large Campusライセンス(500台以上):781,900円(税別)

いかがでしょうか?意外と低価格な設定となっています。シングル・ユーザー・ライセンスの数人分のご予算で学内の大勢の職員および学生にご使用頂けます。

現状、研究助成金が個人を対象に支給されていますので、個人個人で統計解析ソフトウェアを購入されているのですが、本当は、大学の備品として備えておけば、個人が統計解析ソフトウェアを購入する必要はないのです。貴重な研究助成金は、他のことに有効活用できます。

教育用/学生用ライセンスの適用範囲~ライセンス契約の公正化~

教育用/学生用ライセンスは、学生への教育・学習に使用されるライセンスで実社会で使用されないことを前提にしているからこそ、安価な設定で、正規価格と同じソフトウェアを提供することが可能になっております。原則的には、文科省管轄の教育研究機関(具体的には高専、大学および大学院など)でフルタイムの教員(教育用ライセンス)または学生(学生用ライセンス)であることが条件となっております。ポスドクの場合も身分証明書があれば学生用ライセンスを適用することが可能です。したがって、下記のようなケースは対象外となります:

  • 大学以外の本業を持たれる方が非常勤で大学にて研究や講義を行われている場合
  • 大学病院、博物館などの附属施設で使用される場合
  • 民間企業または公的機関など外部組織との共同研究を行われている場合
  • 民間企業の出資により設立された講座または研究所等の場合など

世間で言う「アカデミック・ライセンス」は拡大解釈されてしまう傾向があるので、弊社では「教育用ライセンス/学生用ライセンス」という限定的な言い方にしています。それでも、病院や公的研究機関などから、「我々も学術研究をしているのだから」、「科研費で購入するからアカデミック価格じゃないと監査が通らない」(これは嘘です!)、「非常勤で大学の講義を持っているから」と強いご要望、お叱りを受けることがよくあります。

しかし、これを認めてしまうと、その結果、全員が割引の対象者になってしまいますので、経済的にそれは不可能になります。統計解析は、科学的分析のためのツールですので、ユーザーのほぼ全員が学術論文の著者である「学術ユーザー」だからです。

オンライン販売を前提としているXLSTATシングル・ユーザー・ライセンスの価格設定は、フル装備で他社の基本モジュールのみの価格水準であり、正規価格でも他社のアカデミック価格の同等オプション付きよりさらに安価です。XLSTATはすべてのユーザーに、(他社でいう)アカデミック価格で高度な統計解析ツールを提供していると言えます。

したがって、教育用/学生用ライセンスの提供は、フルタイムの教員および学生に限定させて頂いております。

不遇な研究者への支援

教育用/学生用ライセンスによって利益を受けられるべき人々は、潤沢な研究予算を持たない若い研究者や学生たちです。しかし、実際には、教育用/学生用ライセンスの上記の適用範囲では、そうした人たちが切り捨てられる場合もあります。大学の研究室には、さまざまな境遇の人々がいらっしゃいます。正式な学生または職員の身分を持たずに、不遇な条件で研究をされているケースもよく見かけます。

一方、外部の共同研究者で著書まで出している専門家が便宜のために学生IDを持っていたり、何10年も官庁を勤め上げたベテラン官僚がご褒美で大学院生になっていたりもします。もっと言えば、通常の大学院生の場合でも、その研究テーマは教授の研究テーマなので、実質的には教授に学生用ライセンスを提供しているのに等しい場合もあります。

教育用/学生用ライセンスは、拡大解釈を避けるために、制限された範囲に限って提供して行かざる得ません。そこで、本来支援されるべき人が支援されないという矛盾を解決するために、我々はClassRoomライセンス、Campusライセンスを提供しております。

お取引の円滑化・効率化

最近は多くの大学で法人クレジットカードを使用して、ソフトウェア・ライセンスをサブスクリプション方式でご購入頂けるようにはなってきているのですが、未だに請求書でのお取引も多く残っております。少額の場合、個人の立替払いにして頂くと、それはそれでまた領収書が必要になってひと手間かかります。

教育用ライセンスは正規価格の半額程度なので、つまり非営利価格となっております。XLSTAT-Basicの教育用ライセンスは20,300円(税別)です。学生用ライセンスに至っては6,300円(税別)と実質的に手数料のみの無償提供に近いものです。これらを1本1本手売りしていると、その事務にかかる時間だけ損失が積み重なる仕組みとなっております。我々としても、キャンパス単位でご購入頂ければ、それだけ時間を節約できることにもなる次第です。

  • 研究予算の有効活用
  • ライセンス契約の公正化
  • 不遇な研究者への支援
  • お取引の円滑化・効率化

などの点から、個人ごとに統計解析ソフトウェアのライセンスを調達するのではなく、お得なCampusライセンスを導入して頂けますようお薦め致します。XLSTAT Campusライセンスをご購入頂くと、大学のキャンパスごとの管理下で、ご自由にご使用頂くことができるようになります。

 

 

投稿者:Kunihiro TADA

XLSTATがDBSCANクラスタリングをサポート

XLSTATの次のリリースでDBSCAN(DENSITY-BASED SPATIAL CLUSTERING OF APPLICATIONS WITH NOISE:ノイズのあるアプリケーションの密度ベース空間クラスタリング)がサポートされます。

チュートリアルはこちらです。

チュートリアルの事例ではFisherのアヤメのデータを使用していて、3種類のアヤメを分類することはできず、2種類に分類しています。

だからと言って、DBSCANがあまり良くないということにはなりません。私が以前から口酸っぱく言っているようにクラスタリングとクラス分類は異なります。クラスタリングは、与えられたデータの多次元空間内での「集まり(塊り)」を何の先入観もなしに虚心坦懐に検出しようとしているだけです。選択された変数が、たまたま人間が意図しているクラスをよく説明していると、クラスタリングの結果とクラス分類が一致することもありますが、たいていの場合はそうではないからです。

以前にも指摘しましたが、アヤメのデータの場合、4つの変数の値の間で商を取って(つまり、各部位のプロポーションを計算して)新しい変数をつくれば、クラスタリング・アルゴリズムの良し悪しとはほとんど関係なしに、3種類のアヤメをきれいに分類することができます。つまり、新しい変数を導入することで、多次元空間内で3種類のアヤメが分離されて、それぞれで集まるようになるからです。逆にいうと、多次元空間内で分離していないデータなら、どんなクラスタリング・アルゴリズムを使っても、そのままでは人間が意図しているクラス分類にはなりません。ただそれだけのことなんです。

では「いったい何のためにクラスタリングを行うのか?」という疑問が出てくるかと思いますが、クラスタリングの目的は、クラス分類を再現することではなく、多次元データに内在する構造を虚心坦懐に明らかにしようとすることです。多次元空間の次元軸の選択を変えると、その構造はさまざまな様相を現します。したがって、クラスタリングの奥義は探索的データ分析です。つまり、変数選択や変数の重みを変えて、さらに既存の変数から新しい変数を作成して、セマンティック(意味的)な観点からユーザーが表現したいデータ空間を作成して、クラスタリングの結果をプロファイル分析(クラスタの統計的特徴を分析)して、その結果を踏まえて、次のクラスタリングを行うということを繰り返します。

ユーザーの頭の中に「こうあるべき」という分類があって、クラスタリングの結果をそれに一致させようとするのも悪くはないのですが、それに固執しすぎると、新しい発見の機会を自分から放棄してしまうことにもなりかねません。

それはそうとして、DBSCANはなかなか面白い手法のようです。なぜかというと、人間(赤ん坊)が新しい事物を学習するプロセスに似ているところがあるような気がするからです。もちろん人間の学習は、機械学習のように何千回、何万回もする必要がなく、今もってそれは謎に包まれているのですが、どこが似ているかというと、つまり、ある1つの事物を初めて見て、それをAと認識し、次にそれと似た事物を見たとき、それをA´と認識し、あるいはAとは明らかに異なる事物ならBと認識するというような点で似ているわけです。

DBSCANのもう1つの興味深い点は、「ノイズ」という概念を導入している点です。たいていのクラスタリング手法は、すべてのデータ・ポイントを無理やりどれかのクラスタに入れようとするのですが、DBSCANの場合は、どのクラスタにも入らないデータ・ポイントを素直にはじくことができます。これは異常検知に役立つ他、ビジネスの取引履歴などでは「新しい変化の予兆」をいち早く発見することにもつながると期待されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者:Kunihiro TADA

お電話の通話内容は録音させて頂いております。

近年、企業などへの問い合わせは、電子メールやウェブサイトのフォームから行うのが一般的になっております。この場合、問い合わせをしてから回答が来るまで、しばらく待たなければならないものです。一見、それは非効率にも見えるのですが、円満なコミュニケーションを保つためには、それぐらいの<距離>を保っていた方がよく、結果的にその方が効率的です。

電話をかけるというのは、すぐその場で必要な情報が欲しいからなのですが、そこで考えなければならないのは、その欲求自体が、電話をかける人の自分勝手な欲求である、ということなのです。電話を受ける方は、いきなり会ったこともない人から電話がかかってきて、予期しないことを訊かれても、すぐその場で回答できるとは限らないのです。

それで「折り返し回答させて頂きますので…」となるわけですが、そこから電話をかけてきた人が切れはじめて「そんなこともわからないのかっ!」と暴言が始まるというのが、近年の電話事情ではないでしょうか?

企業のお客様お問い合わせ窓口などでは、通常、自動アナウンスが流れて、要件ごとに番号を押すステップがあり、オペレータに回線がつながってから住所・氏名・電話番号などを確認するステップがあり、それから要件を聞いてから、またさらに担当部門に転送されるなどの何段階ものステップを経なければなりません。担当者間で転送されるたびに、何度も同じことを説明しなければならなかったりして、イライラが段々と高まっていったりするものです。

弊社の場合は、そんなにたくさんのステップを経て、ようやく本題に入るということはやっておりません。電話に出てすぐにお問い合わせに応じます。統計などの高度なご質問が多いのと、悪質な暴言も多いので、多田自身が電話に出ることが多いです。まあ端的に言えば、そのへんの中小企業の親父が電話に出ています。お客様には気楽にお問い合わせ頂けるわけですが、そこに電話特有の匿名性が加わると気が大きくなってしまうお客様がけっこういらっしゃいます。

自分が顧客の立場にいるときに「お客様は神様だぞ!」なんて横柄な態度をとるというのは、普通の社会人には恥ずかしくてできません。なぜなら自分もいつでもその逆の立場になる可能性があることを理解しているからです。ところが特別な地位にあって社会から隔絶されている人々は平気でそれができてしまいます。

昔は、大学教授や医師というのは上品な人というイメージがありましたが、最近はそうでもないようです。高学歴エリートほど常識知らずのモンスターになってしまいがちな現代社会の矛盾があります。そのような先輩たちの背中を見て学んでいる医学の大学院生がまたなかなかなものであります。

XLSTATは学生用ライセンスを6,300円からと、正規価格からするとほぼ無償提供に近い価格で提供しております。大学院生が論文を書くためにXLSTATを利用されるのは結構なのですが、自分で早いうちに準備をしておけばよいものを、ギリギリで購入しておいて、動作のトラブルが生じて「論文が間に合わなかったら訴えるぞ」なんて電話をかけてきたりします。こんな人たちに医療を任せられないと不安になったりもします。

一方的に電話をかけてきて暴言を吐いたり、脅迫めいたことを言うのは犯罪ですので、我々も自衛手段を講じております。通話内容はすべて録音させて頂いており、裁判の際に証拠として提出できる状態となっております。お電話でご連絡頂く際は、その点に留意されますことを助言申し上げます。

たぶん、そのうちに電話もなくなって、Skypeのようなアプリで通話するようになれば、すべての身元がわかった上で通話できるので、現在の電話での無法状態はなくなっていくはずだと期待しています。

お互いに無用なトラブルを避けるために、今のところ、電子メールやウェブサイトを利用されることを推奨します。

 

 

 

投稿者:Kunihiro TADA

科研費でもオンライン決済でソフトウェアを購入できます。

これまで、公的研究機関や大学などが研究用の資材を購入する際に、納入業者に対して「見積書・納品書・請求書の3点セットに代表者印を押印して郵送してください」という鉄の掟がありました。とくに科研費で購入する場合は、「科研費だから」と何か特別なことのように強調されることがありました。なかには「おたくは科研費に対応していますか?」「おたくの製品は科研費で購入できますか?」と問われる場合すらありました。

この件について、科研費(科学研究費助成事業)を担当している日本学術振興会、および文部科学省に問合せを致しました。その結果、「そのような規定は一切ありません」との回答を得ましたのでお知らせします。

ソフトウェア・ライセンスに関しては、現在、インターネット上のオンライン決済で直接購入するのが一般的になっておりますので、科研費だからという理由でオンライン決済で購入できないという規定もない、とのことでした。むしろ、直接販売されている商品を、わざわざ、その商品とは関係のない出入りのブローカーを介して調達することは、その業者との不正な取引があることを疑わなければならないということになります。

一般の事業者は、当然のことですが、科研費とは何の関りもなくビジネスを行っております。一般の事業者が売り手の場合、科研費で購入する顧客に対して何か特別な対応をしなければならないという法的根拠は一切ありません。あらゆる商取引は商法に則って行われます。科研費だけ特別な法律が適用されるということはありません。商取引は、商品と代金を交換することで成立します。手短に言えば、売り手の同意がある限り、代金さえ払えば誰でも平等に商品を購入できる――ただそれだけのことです。売り手としては、その代金を科研費から支払われようが、あるいはその他の予算から支払われようが、何か区別をしなければならない理由はどこにもないのです。

民間企業に勤めている人々にとっては、当たりまえのことなのですが、売り手と買い手は法的に平等の立場です。そこがしっかりしていないと法律が機能しません。日本では「お客様は神様」という美しい言葉があるのですが、もともとは歌手の三波春夫さんがステージで観客を喜ばせるために使った言葉です。企業の経営者の中にも、企業イメージをよくさせるために好んで使う場合があります。しかし、商品の買い手が「お客様は神様だぞ」と言うのは、まったくの筋違いであることをご理解頂く必要があります。(残念なことに、こうした根本的な考え違いをしている人が大学や研究機関には多数おられます。)売り手がいつでも買い手にぺこぺこにして、買い手の要求を何でも受け入れなければならないというようなことは、法治国家では認められておりません。

財源が科研費であろうが、別の予算であろうが、研究者が外部から商品やサービスを買う場合、それは普通の商取引と何ら異なることはありません。つまり、買い手が売り手に要求できることも法律に基づいて一定の制限があります。たとえば、最近はなくなりましたが、昔は大学等に商品を販売すると「請求書の日付は空欄で」という指示がありました。あれは公正な取引が成り立たない完全な違法行為でした。民間ではあり得ないのですが、もし大企業なら独占禁止法で取り締まられる内容であり、そして、公的機関の場合は職権濫用罪となります。

しかし、世の中には、科研費で購入することを何か特別なことに仕立て上げたい人がまだまだ存在します。一般世間とはかけ離れた取引方法によって、仲間内だけで取引をしたいようなのですが、もはやそうしたことは違法行為ですのでやめて頂く必要があります。

見積書・納品書・請求書の3点セットに代表者印」というのは、その典型で、これにはまったく法的根拠がなく、一般の普通の会社と取引を行うことを事実上困難にすることを目的とした嘘のルールなのです。とくに「代表者印」というのが重要なところで、代表者印というのは会社の実印です。それは社長にしか押せません。普通の会社は、日常的な取引のために代表者印なんて使用することができません。中小零細企業でさえも、たとえば平社員が担当する案件の1万円の請求書に代表者印を押印できるかというとまず不可能です。

つまり、公的研究機関や大学の周辺には、それらの特定の機関に対して営業活動をしている事業者が存在しています。「見積書・納品書・請求書の3点セットに代表者印」は、これらの業者が優先的に受注できるようにするための典型的な仕掛けなのです。そうした事業者は、特定の商品を持っているわけではなく、研究者に取り入って、研究者が指定する商品の調達を請け負い、その商品を本来の発売元から仕入れて、研究者に納品し、利ザヤを稼ぐというビジネスをやっています。つまりは、研究資材の調達を請け負うブローカーです。つまり、一般の事業者にとっては、直接販売すれば定価で売れるところを、関係のないブローカーが間に入ってきて利益をかすめ取っていくという迷惑な存在なのです。

とても多くの研究者が、こうした研究資材ブローカーに利用されてしまっているという事実をご理解ください。長年関係が続いてしまっていて、すっかり騙されています。「科研費対応」とか「指定業者」とか言っているかと思いますが、それらはすべて嘘です。そんな規定は一切ありません。彼らは、研究者にぺこぺこして、何でも「はいはい」と言うことを聞くので、使い勝手がよいでしょうが、そのような表面に騙されないでください。彼らは特定の商品の販売権は持っておらず、彼らが個々の商品を販売できるという法的根拠は希薄なのです。少なくともソフトウェア・ライセンスをブローカーが転売することは禁止されております

財源が科研費であっても、あるいはその他の助成金や補助金であっても、あらゆる商品は、その商品の本来の発売元、正規代理店から購入することができます。むしろ、そうするべきであって、出入りの業者を介して購入することの方が不正となりますのでご注意ください。オンラインで購入できるものは、オンラインで購入してください。

 

 

 

 

 

投稿者:Kunihiro TADA

第3次AIブームがついに終了!

だそうです。やれやれお疲れ様でした。善良な社会人の皆様は、速やかに各自の持ち場に戻って、しっかりと働きましょう。

帰る所のある人はまあよいのですが、帰る所がない人がこれからたいへんです。そう、若い”データサイエンティスト”の皆様です。皆さんは、キャリア・プランニングを一からやり直す必要があります。

テクニカルな面で言えば、真っ当なプログラミングか、あるいはちゃんとした統計解析を勉強する必要があるでしょう。データサイエンスでは、どちらも中途半端なままスポイルされてきた要素です。しかし、それもけっこう茨の道です。これらの技能を身につけたとしても、これから職にありつけるかどうかは不確定だからです。なぜならIT産業はすでにGAFAなどに寡占されてビジネス・チャンスがなくなっていて、斜陽化が始まっているからです。

統計解析は、業種に限らず、これからの企業の意思決定においてますます重要になってくるのですが、これもあまり楽観的な未来が描けそうにありません。なぜなら、統計解析を習得したとして、組織内でそれを活かしてバリバリ仕事ができるかというと、残念ながら日本の組織では、その環境がまだ整っていないのです。データサイエンティストの皆さんは、これまでじつに貴重な経験をされたことでしょう。すなわち、まわりの大人たちに情報収集・分析能力が欠如していて、彼らがいい加減な風評を頼りにビジネスの意思決定をしていることを目の当たりにしてきたことでしょう。

そうです。これこそが根本問題なのです。大東亜戦争や80年代バブルとその崩壊後の対応などを見ても、日本の組織の情報収集・分析能力の低さは致命的なのです。60年代70年代の高度成長期は奇跡的な大発展を遂げたのですが、それは日本の政府や大企業が意図的な戦略を持ってそれを実現したわけではなく、たまたまそのときの国際情勢(米ソ冷戦)がそれを許していただけなのです。もうあのような幸運は二度と訪れないでしょう。この先、我々日本人が科学的に戦略的意思決定を行う方法を確立していかない限り、アジア諸国の台頭の中で日本の存在感は限りなく縮小していく運命にあります。

今後、我々が生き残っていくために、我々は、日本の企業や行政組織に、科学的な意思決定の方法を根付かせる”戦い”に挑まなくてはなりません。私が20年前にKohonenの自己組織化マップ(SOM)を始めた動機は、これを戦略的意思決定ツールとして普及させようと考えたからです。私は、20年間、孤軍奮闘で戦って来ました。

第3次AIブームを経て、私の問題意識に共感できる人材が育ってきているとしたら、ブームもまんざら無駄にはならなかったと言えるかもしれません。ブームに翻弄されてきたデータサイエンティストの皆さんは、ぜひ直観力をフルに働かせて、また情報をよく分析して、未来の可能性、自己の身の振り方を見つけてください。